2008年 12月 16日
螺旋
サザエは漢字で栄螺と書く
栄螺の「螺」は
らせんかいだんの「ら」である
それがどうしたといわれても困るのだが
螺旋階段を見上げてふと思ったものである

螺旋_c0120913_18441927.jpg
近所のマンションの螺旋階段
OLYMPUS E-410


栄螺のむき方は自由だ
好きなようにむけばよいのだが
コツは
巻貝にしろ
二枚貝にしろ
油断させておいてすきができたところを一気にやることだ

ボクは蓋のすきまにナイフを差し込んで
「ぐるりん」

口に沿って回して貝柱を切り
蓋ごと身を引っ張り出す
次に
指を突っ込んで中に残った身を
「ぎゅっぎゅぎゅっぎゅ」

身を奥に押し込むようにして殻にくっついた身を離す
身離れが悪い場合は
さらに
「ぎゅっぎゅぎゅっぎゅ」

身を押し込む
身が離れたら逆時計回りにねじりながら引っ張り出す

「くるりん」

みごとに豚の尻尾みたいなのまで出てくる
「くるりん」

きれいに飛び出すこの瞬間が気持ちよいのだ

さて
この先端の豚の尻尾を
内蔵(はらわた、肝)だと思っているひとが多い
素人だ
そればかりか
うんこ(ばば)というひともいる
言語道断だ
いまから食べようというものを
「うんこ」とはナニゴトだ
まったく話にならない
これは生殖巣なのだ

栄螺の性別は殻から身を取り出すまでわからない
先端のくりんくりんが白っぽい色なら♂で
緑色だったら♀だ
見たらすぐにわかる
どちらも可食部だが
ボクは白い方が味も食感も好きだ

それじゃ栄螺の内蔵はどこにあるかということだ
つまり腸(はらわた)だが
身と生殖巣の間にある
ここは食べない
身には「口」がある
真っ赤な部分だ
硬くて不味いのでこれも食べない
つまり
殻と蓋と内蔵と口は食べないのだ

足は一本に見えるが
よく見ると二本に分かれていて
これを左右交互に動かして海底を歩き回るのだ
二足歩行のニンゲンと同じだ
(ただしカタチは人間の足とはぜんぜん違うぞ)

あとは好みの大きさに切って山葵醤油だ
栄螺一個でうまい純米酒を一合
つまり十個あれば一升飲めるという計算だ
(ボクはそんなに飲めないが)
栄螺の旬は晩春から夏にかけて
いまは正反対の季節だ
ああ
早く春にならぬものか・・・

酒飲みは
螺旋階段を見ただけで
ここまで想像せねばならぬのである

by ikasasikuy | 2008-12-16 18:41 | 意匠 | Comments(4)
Commented by at 2008-12-16 22:21 x
うんこだと思ってました。
さざえさん、ごめんなさい。
Commented by Sa. Sa. King at 2008-12-17 01:07 x
ぴさん
べつにあやまらんでもよろしい
ほんで
サザエにさんつけたら
ベツのキャラクタになってしまいますがな

Commented by jinenbo at 2008-12-17 01:46
あのトグロの巻き具合...
ボクもアレだと思っていました^^

して、色の違いは
硬いかやわかいかだと思ってましたー(uso)

むかし、テレビの青春ドラマで『おれは男だ!』のエンディングだかで
砂浜にて栄螺を焼き喰らうのを
 うまそうだにゃー
と、見ていたのを思い出しました
Commented by さーさーきんぐ at 2008-12-17 12:54 x
じねんぼう親方


親方まで
「アレだと思っていました」


たしかに
色、艶、カタチ
どれをとっても「アレ」ですけど
とぐろのあれは「アレ」ではなく
「アレ」はあれと身の間のナニな部分です

むかし
山陰海岸ですもぐりで密漁したのを
そのまんま浜で焼いて食いました

生焼けなうえ「アレ」ごと全部食べたので
しばらくするとみな下腹を押さえて走りました
つぼ焼きは
必ずいったん中身を抜いて「アレ」を除去して
冷水できれいに洗って
殻に詰めなおしてから焼きましょう
醤油でもうまいですが
ぽんずがいちばん会うと思います
十個で一升です


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