2009年 05月 29日
OLYMPUS E-410 with Zuiko 35mm F3.5 Macro なんの変哲もない 地味な集金袋にみえる しかし じつはこれ 世界にもう数個しか残ってないという貴重な集金袋なのだ 元々は世界に20個あったといわれている どういうことかというと つまり こういうことだ 今を去ること二十数年前 橋詰酒店の大将が 「世界一シンプルで丈夫な集金袋を作ろう」 と 京都東山知恩院前の「一澤帆布」という袋物屋に 別誂えで作らせたのがこの集金袋なのだ (今も同じ場所に一澤帆布はあるが 今の一澤帆布は当時の一澤帆布とは趣を異にする) なにしろ 酒屋にとって集金袋は必要不可欠のアイテムだ 一年三百六十五日 朝から晩まで腰から下げている 日に何十ぺんも何百ぺんもジッパーを開け閉めする お札を出したり入れたり 小銭を出したり入れたり 納品書を出したり入れたり 請求書を出したり入れたり 領収書を出したり入れたり 酷使に酷使を重ねる 酒屋ほど集金袋を酷使する業種もないと言ってよい 橋詰の二代目によると 丈夫がウリのこの集金袋が わずか二年ですり切れてしまうという 酒屋の酷使ぶりがどれほどのものか知れようというものだ したがって 二十数年前に20個作らせたた集金袋も あと数個しか残っていないのである 二十数年前と言えば 勿論まだ先代の社長が健在で 息子たちが醜い相続争いをする以前のことだ 橋詰酒店の大将は 「丈夫がウリの一澤帆布」と聞いて おおいに気に入り 先代一澤社長に直に交渉して作らせたのだという ジッパーを開けると中は三層構造になっていて 中央がお札入れ 両側は請求書や領収書などを収納するようになっている このデザインは橋詰の大将が考案したものだ 橋詰の二代目は 「もし在庫がなくなったらどないしよか思てるんです」 と言う 「これ持っていっておんなじもん作ってくれゆうたらええやん」 「どっちに注文したらええんですかね」 「そんなもん弟の方に決まってるがな」 「やっぱり」 「職人も生地屋も弟の信三郎帆布についてんねんし」 「そうですよねえ」 「それにドーシシャも弟派やで」 「ドーシシャて、あの同志社大学ですか」 「同志社小学校や」 「へえ、そうなんですか」 「そらそうと、ひとつたのみがあんねんけどな」 「なんです」 「残ってるやつ、ひとつわけもらうわけにいかへんかな」 「い、いや、それは無理です・・・」 「そこをなんとか、っちゅうハナシやがな」 「これ、びっくりするぐらい高いですよ」 「わかってるがな、ゆうたら悪いけど、わてもイチザワハンプ愛好家やねんで」 と言いながら 奥から一澤の古いショルダーバッグを出してきて見せびらかす 「うっわー、しっぶいですねぇこれ」 「せやろ、高かってんでこれ」 「そうですかぁ・・・いっぺん親父に相談してみますわ」 「ほんまに相談してや」 「夕方また来ます」 夕刻 玄関のチャイムが鳴った 「まいっどぉ、はしづめでぃーす」 と 桂小枝のような声 おお! 来よった 来よった 中はシンプルな三層構造 むふふ
by ikasasikuy
| 2009-05-29 19:32
| 意匠
|
Comments(4)
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ぢ
at 2009-05-29 23:49
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おおおおぉぉぉぉっ!!!!
これは見事な! どっから見ても 集金袋にしか見えへん リッパな集金袋。 ほて なんに使いますの? い? 副業の高利貸し? いや~ エゲツナイことしてはりまんにゃな~。。。。
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ikasasikuy at 2009-05-30 01:26
ぢさん
あのね 高利貸しはやめましてんわ あまい取り立てやっとったら夜逃げされて踏み倒されるわ マンダ銀行みたいなえげつない取り立てやったらひとの恨み買うわ まあ ろくなことおまへんにゃ ほんで この集金袋 ズボンのベルトにループ通しといたら落とすこともないし おっきぃめにできたあるから百万円ぐらい楽に入るし 財布代わりに使おか と まあ こない思とりまんにゃわ ウエストバッグやらチョークバッグより洒落てまっしゃろ しかし さすがは旧一澤やね しっかりした作りですわ
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jellyfishcafe at 2009-05-30 02:36
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ささき
at 2009-05-30 11:54
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jellyfishcafeさん
ごきげんさんです これね 酒屋のにいちゃんが いつもコシから下げているのですが 見た瞬間「ゾクッ」ときました いわゆる 「ヒトメボレ」というやつです イチザワと知ったのはあとからで やっぱりなんか惹かれるモノがあるのでせふか それにしても ちょっと高すぎますよお値段 ユニクロやったら525ヱンぐらいやと思います |
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