2011年 07月 23日
樋口一葉
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樋口一葉 小説集
OLYMPUS E-410



樋口一葉を
初めて読んだ
すごいと思った
なにが凄いかと言うと
センテンスの長さである
短編を集めた小説集なのに
ひとつのセンテンスが長いので
まるで長編小説のように感じるのだ

たとえば
「大つごもり」
文頭から最初の句点までが
四頁(四十四行)である
四ページも大きな息継ぎをせず読むと
息が詰まる
呼吸困難になる

句読点は随所にあるが
句点がないので
途中で読むのを止めにくい

 「ここらでひと区切りつけてほしいなぁ」

と思ったりするが
そんな読者の気持ちはお構いなしに
延々と文章は続くのだ
しかも
文体が明治時代の旧文体だ
そのうえ
聞き覚えのないことばが随所に出てくる
話の流れはだいたいつかめるが
ディテールがわからない
ほぼ

 「京都市綾小路麩屋町」

である

江戸時代のことを書いた小説を
昭和のひとが書くとまた違ってくる
たとえば
池波正太郎や藤沢周平や宮部みゆきは

 「すらすら読める」

ところが
明治時代のことを明治時代のひとが書くと
こんなにもややこしくなってしまうということを改めて知った
なんだか
明治という時代がはるか遠い過去に思えてきた

しかし
同じく肖像が紙幣になった夏目漱石も同じ明治時代の小説家だが
面白いかどうかは別にしてとても読みやすい文章だ

  _u_m_u_m_u_

漱石の5倍の価値が付けられた一葉である
ここで挫折して中止するのは勿体ない
もう少し読み砕いてみようと思う

  砕けるだろうか・・・
  挫けるのではないだろうか・・・

by ikasasikuy | 2011-07-23 04:27 | 文学


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