2015年 04月 17日
すばまかい
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すばまかい
LUMIX DMC-TZ30





壺屋大通りで買ったすばまかい

 色といい
 つやといい
 カタチといい
 おおきさといい

非の打ち所がない
魚紋の胸びれがハート型になっている
一目見て女性の作品とわかった

店のおばぁに
「これ女の人の作品やね」
と言うと
「よくわかるね〜」
とおばぁは驚いていたけれど
だいたい
おっさんはハート型の胸びれは描かないと思っただけのことだ

 「だれの作品ですか」
 「かなちゃん」
 「え?」
 「かなこっていうんだけどね」
 「苗字は?」
 「ん〜・・それがいまでてこないさ〜」
 「知ってるひと?」
 「子供の頃からよく知ってるさ〜、ん〜・・だれだっけかな〜・・」
 「・・・」
 「結婚して名前変わったんだよ〜・・」

おばぁは顔をしわくちゃにしながら
一生懸命思い出そうとしている
どこかシーサーに似ている

 「若い人?」
 「若いよ、まだ五十すぎさ〜」
 「・・・」
 「ふじわらだったかな〜・・」
 「ふじわらかなこさん?」
 「あ〜ちがうな・・ふじもと・・ふじむら・・ふじさわ・・ちがうな〜」
 「・・・」
 「いつもはすっと言えるんだけどね〜」

そこへ近所のおばぁが入ってきた

 「あ〜かなちゃんだれだった?」
 「え?」
 「かなちゃんだよ」
 「・・・」

近所のおばぁは固まっている

 「かなちゃんのお母さんは宮城須美子なんだけどね」
 「・・・」
 「ほら、次郎さんの娘」
 「・・・」
 「ほら、そのとなりに並んでるまかいがすみちゃんのだよ」
 「あ、これですか、へぇ〜親子で陶芸家なんやね」
 「あ、やっぱりふじわら・・かな」
 「そうですか」
 「ミカン食べる?甘くておいしいよ」


藤岡香奈子(1962年生)だった
おばぁ、まちがってるぢゃん
帰って調べてみてわかったことだが
藤岡香奈子は沖縄県初の人間国宝、金城次郎の孫らしい
現在は読谷村のやちむんの里というところで
実母の宮城須美子(国宝の長女)とやちむんを製作していることもわかった


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出汁巻きすば(乾めん琉球美人) / 鶏牛蒡団子すば(宮古そば)
天ぷらすば(首里そば) / 茸すば(八重山そば)



すばまかい
ほぼ毎日使っている
本場のすばまかいで食べるすばはなんだかうまい


近所のおばぁは椅子に座って
かってにミカンをむいて食べている

 「おいしいねぇ〜」
 「そうだろ、アタシ朝から二十は食べたよ」
 「手がとまらないねぇ〜」
 「ほれ、アンタもあじしてみ、甘いよ」

おばぁは完熟のシークワァーサーを七つ八つビニール袋に入れて
歩きながら食べろとボクに持たせてくれた
ついでに広告の裏に「藤原加奈子」と書いたメモを
シークワァーサーの袋に一緒に入れてくれた
人間国宝のようなおばぁだった
沖縄の女性は歳をとっておばぁになると
みんなこんなふうに優しくて愛らしくなるのだろうか


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こんど沖縄へ行ったら
お母さん(すみちゃん)の作品を買おう
でもおじぃちゃんの作品は高くてボクにはとても買えない

by ikasasikuy | 2015-04-17 07:28 | めん類学 | Comments(2)
Commented by ゾン at 2015-04-17 10:46 x
こんにちはイカさん。
「すばまかい」って、沖縄語でどんぶり茶碗のことですか?
で、確かにこのすばまかいの藍色は黄色の麺や黄色澄んだすばのスープによく映えて美しいですね~
また、沖縄いきたくなってきたなあ~
Commented by ikasasikuy at 2015-04-17 10:56
ゾンさん
こんにちわ〜
マカイはおわんのことで
ごはん茶わんのこともマカイて言います
沖縄の焼物「つぼや焼き」は独特の味わいがありますねん
ほかにも
珈琲茶わんやら湯呑やらいろいろ買いました
その中でこれが一番のお気に入りです
くれゆうてもやらへんよ


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