2007年 08月 18日
豆腐百珍
少し前
じねん親方が
豆腐百珍のことを書いておられた
豆腐料理を百種類示した料理レシピ本だ
それら江戸時代の料理本を集めた百珍集がこれである

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料理百珍集 OLYMPUS E-410


豆腐百珍
豆腐百珍続編
豆腐百珍餘録
鯛百珍料理秘密箱
玉子百珍
柚珍秘密箱
甘藷百珍
海鰻百珍
蒟蒻百珍
などなどが収録されている
(玉子百珍はどうかと思うが)
ここには収録されていないが、ほかにも百珍物は数多く発刊されている
この手の料理本は天明二年から弘化三年の間
つまり1782年から1846年という短期間に次々に出版されているところが面白い
享保改革などによって徳川幕府の支配体制が動揺し
倹約、質素を旨とする法令が有名無実になったことと関係が深い
それまでの日本人の食生活は食べるのがやっとで
楽しむまでには至らなかった
大衆が贅沢を覚えたのがこの時代だということだ

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料理百珍集 OLYMPUS E-410


ざっと以下のようなことが記されている


豆腐百珍・六「高津湯とうふ」
  絹ごしとうふを用い、
  湯烹して、
  熱葛あんかけ、芥子おく。
   又、南禅寺ともいふ。
   大坂高津の廟の境内に、湯とうふ家三、四軒あり。
   其料に用ゆ豆腐家、門前に一軒あり。
   和国第一品の妙製なり。
   京師に南禅寺とうふあり。
   江戸浅草に華蔵院といふとうふあり。


豆腐百珍・九十二「別山焼」
  温飯を手にて少しもむ。
  是にて、後に串にさす時くだけぬ也。
  さて小さくつくね、
  胡椒味噌につつみ、
  串にさし、少し焼て、
  温めをきたる小奈良茶碗に、二ツ入れ、
  烹調よきうどん豆腐を、羅匕にてすくひ、ざぶりとかける也。
   別山は禅師の名なるよし。

豆腐百珍続編・四十九「霞とうふ」
  豆腐水をしぼり、
  擦菜服、亦よく水をしぼり、
  尤、とうふ六分に、菜服四分よくすりまぜ、
  沸たる湯へ匕ひいるれば、よくよるなり。
  羅匕にてすくひ、
  碗中へ浅草紫菜少しいれ、
  生の煮かへし豆油に番椒の末いる。
   菜服=だいこん、匕ひ=すくい、羅匕=あみじゃくし、番椒=とうがらし

豆腐百珍餘録・二「菖蒲豆婦」
  豆腐、角に取、
  四方を焼
  (焼やう青竹の串へ乗、つよからぬ火にて、打返し、打返し焼べし)
  古酒にて能煮たる上、醤油を入る也。
  こしあんを掛たる物也。
  (こしあんは好悪により砂糖を入さるも有へし)


どれもこれも
無駄を割愛しつつも
微に入り細に入り懇切に説明されている
文章でわかりにくい部分は挿絵も書き加えられていて
それを見るだけでも面白い
ただし
古い仮名遣い多につき
読み辛ひことこのうへなし也

by ikasasikuy | 2007-08-18 12:30 | 食文化論 | Comments(6)
Commented by じねん親方 at 2007-08-18 13:37 x
うひゃ~
料理人でもこの本あんま買いませんよ~

確かに贅沢をおぼえた頃からのですね
にっぽん人の探究心が窺われます
料理の基本がしっかりしています
素材と調味料が少ない時代だからこそ
基本が命だったのでしょう
我々庖丁人も原点を見つめなおさねばならぬ時代に来ているような気がします

食育という言葉があります
日本人の味覚は日本以外の国の人よりも一つ多いんです
甘味、酸味、塩味、苦味、が四面体ですが
五番目の『旨味』をにっぽん人は持っております
生まれながらにしてではなく、育てられる味覚の一つです
舌のブツブツの味蕾(みらい)は幼少の頃最大数になるそうです
その時期に、お袋が作った味噌汁等をちゃんと飲んでる人は
すばらしい味覚を手に入れるのです
グルタミン酸ソーダなどの化学調味料も旨味とされていますが
それは決して旨味ではありませなんだ
その証拠に、ボクはコレが入っているモノを喰うと
舌が痺れて使いモンにならなくなります
鰹節や昆布からじわりと出てくる味こそが旨味です

あ、
夏休みが終わったので、話が長くなりました
すんませーん
Commented by ささき at 2007-08-18 16:00 x
うひゃ~
ほんまですね
それに現代語訳がないのでわっかりにくい部分が多いです
それでも
江戸後期の食文化を知るのに
必要かつ十分な情報量です

江戸時代の魚釣りのことを書いた本を探しています
たとえば
ハゼを釣鈎を使わずに
団子状にしたゴカイを口いっぱいに頬張らせ抜き上げるとか
竹籤の先に鰻鈎を付け蚯蚓を刺し
岩の隙間に突き刺して竹籤が揺れるアタリを取って釣るとか
橋の上から大量の小さな筏を繋いで下流に流し
筏の底に付けた鈎にゴカイを付けて細魚を釣るとか
そうそう
江戸釣法百珍というような書
ご存知おまへんか・・・
Commented by じねん親方 at 2007-08-18 17:14 x
たなご釣りに関してはあったように記憶しています
良く行っていた小さい釣り道具屋で100万えんくらいの竿を飾ってて
古い本があったような・・・

ハゼの数珠っこ釣り
こちらでは漁師がまだやっています
タコ糸の細いのに太い縫い針をつけて
イソメやゴカイをアタマからシッポまで何匹も通し刺しにして
両端をねじってよって行きます
狙いの魚の口の大きさに合わせよりの回数を調節し
二股の竿の糸に括りつけ、オモリはつけません
ハゼがカプッと喰ったら喰った方を手首を返して船の上に釣り上げます
船にポトンと落とすと、ポロって外れます
型揃いが釣れ、手返しも良く、餌持ちは丸いちんちです

アナゴでもやりますが
そんときはリールを付けての一本竿です
アナゴは掛るとグルグル回って、仕掛けがワヤになりますが
数珠っこ釣りではでんでんだいじょぶ!

ハゼはせいぜい2mの深さでしかやりません
深いと二股竿使えませんからね
松島独特の伝統釣り漁です
Commented by ささき at 2007-08-18 19:24 x
鯊の数珠っこ釣り
まだやってるんですねえ
すんばらしいことです
いっぺん漁してるところを見てみたいなぁ

江戸前のアオギスの脚立釣りもそうですが
このやふな伝統釣法も
いつかは時代の波にのまれて
ひそかに姿を消すのでしょう
豆腐百珍に見られる食文化の伝承にならって
釣り文化の伝承も必要ではないかと
ふと
思う今日この頃であります
Commented by Kenneth.K at 2007-08-18 20:17 x
まったくであります。
いつのまにか時代に淘汰されなくなっていく釣り方はあると思います。
海の方でも釣れる魚が変わってきたり
魚の釣り方が大幅に変化してきたり
目まぐるしいほど変わり、
この30年ほどの間でも大きく様変わりしています。
釣り人の釣りも
漁師の釣りも
です。
残さねばなりません。

鯊の数珠っこ釣り
以前にTVで見ました。
観光でやらせてくれる船があるようです。
ぼくもやってみたいです。
Commented by ささき at 2007-08-18 21:58 x
Kenneth.Kさんみたいに
釣りのメッカのような土地で釣りをしていると
やっぱりそう思うでしょうね
アオリイカの野猿とか
チヌの紀州釣りとか
根強い釣法もありますけど
ボクの父親の時代に主流やった釣法は
ほとんど廃れてしまってます
今の状況にそぐわないことはよくわかりますが
せめて
「こういう方法で釣っていた」
ということを文献にして残すことは重要な気がします
溢れるほど釣りの書籍が出版されている現代に
古式釣法を紹介する本が出ないかと期待しています
ホソタニさん
無理?


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