2010年 09月 28日
今宮神社
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今宮神社 本殿
OLYMPUS E-410



秋晴れの気持ちのよい朝だ
京都今宮神社へ参拝した

ぢつは三十数年前にも
今宮神社に参拝したことがあるのだ
しかし
憶えているのは
門外の茶店で食べた炙り餅のことだけで
神社そのものの記憶は完全に霧散していた
したがって
まるで初めて来る場所のような
新鮮な気持ちで参拝したのである


「おみくじひきます」

例によって御神籤をひきに社務所へ行くと
だれも居なかった

「とんまてーん」

大きな声で呼ぶと
しばらくして
奥から美しい女性が現われた
そして鈴を振ったような綺麗な声で

「おみくじですね、200ヱンです」

巫女だろうか
あまりの美しさに
ボクはいつもの台詞がなかなかでてこなかった
しかし
気を取り直して

「た、たっかいですねー、宮城県では100ヱンですよ」
「えー、そうなんですか」
「なんぼかまかりませんか」
「いえ、それは・・・」

巫女は困ったような悲しげな顔になった
すると気の弱いボクはまたしても次の台詞がのどにつかえた
ああ
こんなことでは
いつまでたっても日本一の御神籤引きにはなれないぞ

もう一度気を取り直して
美しい巫女と対峙したのであった

「高いけど引きます、はい、200ヱン」
「じゃあ、この筒を振ってください」

巫女はそう言うと
御神籤の入った筒をボクに手渡した
手渡しながら

「こっちを下に向けてくださいね」
「ありゃりゃー、先手取られてしもた」
「先手ってどういうことですか」
「いや、こっちのことです」
「気になります」
「いや、つまりね、出ませんよー、あーたそれ逆さまです・・・というような」
「よくわかりません」
「いや、わからなくてもええんです」
「出ましたか」
「あ、出ました」
「何番ですか」
「えぇーと、ねぇーの・・・」
「ねぇーの?」
「子の千三百六十五番」
「富くじじゃないんですよ」
「そうそう、その調子です」
「なんのことですか」
「いや、こっちのことです」
「面白いひとですね、本当は何番なんですか」
「えぇーと、字が読みづらいんです」
「老眼ですか」
「わっかりますか」
「私が読みます、ちょっとこっちへかしてください」
「はい」
「これ、十九番です」
「19番ですか」
「いえいえ、19番じゃなくて、漢数字で十九番と書いてあるんです」
「同じでしょ」
「まぁ、同じです、はいこれが十九番です」


そっけなく言うと
巫女は白魚のような美しい手で細長い紙札を手渡した

「うっわー!」
「どうしたんですか」
「あっらー!」
「だいじょうぶですか」
「は、は、は、は、はんきちー」
「あ、半吉ですね、よくある運勢ですよ」
「えーっ、よくあるんですかこれ」
「半吉はよくあります、うちでは別に珍しくありませんよ」
「そうですか」
「そうですよ」
「でも、これスカでしょ」
「おみくじにアタリとかスカとかありません」
「そうそう、ええ調子です」
「なんのことですか」
「いや、こっちのことです」
「おかしな人ですねぇ」
「しかし、半吉て中途半端の半ということですね」
「まぁそうですね」
「まぁそうですねて」
「残念でした」
「残念て・・・」
「あはは」
「あははて」
「もう一回引きますか」
「もうよろしい」

というわけで
三十数年ぶりの今宮神社の御神籤は
スカ・・・、いや、半吉だった


今宮神社_c0120913_2338541.jpg
半吉!?
OLYMPUS E-410



本殿へ向い

 「ガシラがぎょうさん釣れますように・・・」

と願をかけ
無事参拝を終えたボクは
若干の空腹を覚えはじめていた

ホテルの朝食のクロワッサンを二つにしたのがいけなかった
隣の席のおばあさんは三つ食べていた
向かいの席のお兄ちゃんは六つも食べていた

神社の東門を出ると
餅を焼く香ばしい匂いが漂ってきた

 _u_m_u_m_u_

懐かしい匂いだ
炙り餅だ・・・



 つーびーこんちにぅー

by ikasasikuy | 2010-09-28 11:28 | 宗教民俗学 | Comments(4)
Commented by のら羊 at 2010-09-28 21:42 x
おおむかし、たぶん30数年前のおばばが若かった頃
彼女は西宮神社の裏の、阪急電車との境目にある産所町の飛び地に住んでおりました
ほぼ毎日日参しておりましたので、散歩がてらその界隈はよく歩き回りました
仕事をやめてNZに来る少し前に、見納めかなとも思いその界隈を歩いてみましたが、
大地震でかつて住んでいたマンションも全壊してしまい、全く違う風景になっておりました
で、炙り餅は、記憶にないなぁ
Commented by ikasasikuy at 2010-09-28 21:55
のら羊大兄

三十数年前はボクも若かったです
二十四のときに結婚したので
三十数年前はちょうどそのころです
ほんで
西宮神社ですけどね
裏手に今も産所町はありますが
電車は阪急電車やのぉて阪神電車ですよ
ほんで
産所町あたりは阪神淡路大震災の影響を強く受けた地区で
付近の建物の倒壊は勿論のこと
西宮神社でも大きな被害を受けました
国宝の「えべっさんの土塀」がボロボロに崩れて
わやくちゃになったことは記憶に新しいところです
ところで
炙り餅ですけどね
これは西宮神社やのぉて今宮神社です
ちゃんと冒頭に
「京都今宮神社へ参拝した」
と書いてますでしょ
きっと今宮と西宮をまちごぉてはりますので
記憶にないはずです
Commented by のら羊 at 2010-09-29 08:12 x
ささきさん
そおそお、阪神ですわ
「阪なんとか」やったなぁと思おてキーボードたたいてたんで、待ちごて阪急とたたいたみたいです(頭の中では阪神やってんけどなぁ)
で、炙り餅は京都のえべっさんでっか
さよか、おおけにはばかりさん
あかん、最近ほんまにボケてきてるわ
Commented by ささき at 2010-09-29 10:08 x
のら羊大兄

>炙り餅は京都のえべっさんでっか


ちゃいますよ
今宮神社ゆうても
大阪の今宮戎とはなんの関係もおまへん
だいたい
京都の今宮神社は疫神を祀ってますねん
つまり病気の神さんですなぁ

ほて
京都のえべっさんは別にありますねん

 京都ゑびす神社

西宮や大阪ほど有名やないんですけど
場所は八坂はんのちょっと南で
建仁寺の西隣です
ちょんまい神社なんですけどね
これを含めて
「日本三大戎」ゆうのんどっせ
大阪の今宮はんも狭い境内ですけど
京都のゑべっさんも狭いです
まあ
西宮のえべっさんは
境内で福男レースができるぐらい広いですけどね
こんど
日本に来はったら
三大戎巡りでもしまひょか


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