2008年 02月 08日
ウタマロ
藤沢周平作
「喜多川歌麿女絵草紙」を読み終えて
もういちどウタマロを観に神戸市立博物館へ行く

ウタマロ_c0120913_23212051.jpg
美人五節の遊 喜多川歌麿(博物館図録から)
OLYMPUS E-410 with Zuiko 35mm F3.5 Macro



藤沢周平は
天才絵師歌麿を普通のおっさんに仕立てた

つまり
過去の栄光にしがみつき
新進気鋭の「写楽」の奇才ぶりに怯える
筆の痩せた老絵師に


人生の栄枯盛衰をわかり易い方法で描いたのだ

北斎が広重を気にしつつ
惨めな晩年を過ごしたとする
氏のデビュー作「溟い海」と同じ構図だ
こういう手法はバーナードーショーでも思いつかないだろう

展示された絵を観ていると
藤沢周平が思い描いた歌麿像と
浮世絵史上最高峰の美人絵師である歌麿が
ぴったりと重なり合ったり
遥か何万光年の彼方へ遠ざかったりする

心を無にして絵を観るのもいいが
こうやって
人間臭い一面を暴き立てつつ浮世絵を眺めると
これがまたじつに面白いのである

by ikasasikuy | 2008-02-08 22:25 | 芸術総論


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