2006年 12月 01日
四天王寺の境内に入ったのははじめてである 銀杏の大木が山吹色にいろづいている 見事に美しい 初冬の空は青く澄み切っている ぽっかり浮かんだ白い雲とあいまって これまたのんびりと美しい 平日の昼間のことなので大方は老人だが 境内は参詣のひとで賑わっていた 四天王寺の正門は西門だが ボクは北門から入って ぶらりと歩みつつ南門から抜けた いや 抜けようとして足が止まった 南門の門柱に背をもたせ本を読みつつ弁当を食う若い女 最近よく見かける 人ごみの中で弁当を食う若い女である 境内は広く、弁当を使う場所などいくらでもあるというのに なぜ、わざわざ人通りのする埃っぽい山門の柱と柱の間なのか 突然ボクは写真を撮りたい衝動に駆られた 失礼とは思いつつ 「すみません、写真を撮ってもいいですか」 と思い切って聞いてみた たぶんいやがられるだろうと思った すると 女はちらりとこちらを見ただけで すぐに視線を元の本の上に落としつつ 「顔はだめですよ」 と言うのである 「わかりました」 美しい顔立ちの女だったが ボクは女の顔ではなく弁当が撮りたかったのだ うまい具合に ハトとスズメが弁当のおこぼれを狙っている 少し横顔が入ってしまったがなかなかいいアングルだ 「お邪魔しました」 「いいえ」 女は今度は視線を上げることもなくそういうと 黙々と本を読み、弁当を食べ続けていた
by ikasasikuy
| 2006-12-01 12:10
| 大衆社会学
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