2006年 07月 04日
2006年7月4日 54回目の誕生日を湖上で迎える 板の上でごろ寝をしているうちに ボクは54歳になっていたのだ なにしろ1952年製なのでかなりの中古品である いまさらオーバーホールもままならず だましだましの人生なのである ニンゲンとは欲深き生き物で いくら生きても生き足りぬのであろうか 自らに命の終わりが迫りつつあることを否定し そしてもがき苦しむのだ 「不老長寿」 それはニンゲンの願望の最たるものだが 現代の科学をもってしてもそれは果たし得ぬ夢なのだ 「命あるものはいつか果てる」 このことである それをよくわきまえておけば もう少しマシな生き方もできようというものである さて 本日のヒーローは 湖上で誕生日を迎えたボクではなく DOZ落合、その人である 自らをシャドーマンと称して憚らぬ男が見せた気迫の一撃は 弛みきった雷魚釣師のボクを完全に圧倒した シャドーマンDOZ落合も 「このサイズは久しぶりだ」と言った まったく見事に黒光りしたナイスボディだった それにもまして DOZ落合の竿さばきが見事だった シャドーマンを自称するだけのことはある 少しもあわてることなく魚をコントロールしていた 見よこの雄姿 この爽やかで少し誇らしげな笑顔はどうだ Congratulations !! 昼からは ボクの希望でプラーカスープ釣りに向かった どうしても50cmオーバーのカスープを釣りたかった しかし 釣ったのはシゲちゃんだった 釣りは「欲のない人に釣れる」といわれている 「釣ってやろう」とアグレッシブに攻めれば攻めるほど その「気負い」や「気配」を魚に読まれてしまうのだ シゲちゃんは 何の欲得もなくスプーンを流していただけだという つまり シゲちゃんのスプーンからは気配が消えていたのだ 何のことはない これこそが釣りの原点である 釣道の根本は 決して気負うことなくツリビトの気配を消し去らねばならないのだ これはどんな釣りにも共通することだ わけのわからないままに大物が釣れてしまったという 「ビギナーズラック」もそのひとつである カスープをあきらめ 再びシャドーポイントの浅場へ向かう まず水柱を上げたのはメンだ 前の二人が釣り残したポイントを ボートの最後尾からエイリアンで丹念に攻める (エイリアン=ウィードレスルアー) ノーマルフックでスナッグに絡ませると ボートを止めなければいけない 遠来の釣り客に対して 釣りのリズムやテンポを狂わせないようにという配慮だ それにしても その飛距離とアキュラシーの完璧なこと 今年20歳のメンはナコーンサワン大学の2年生である いわずと知れたサンダルおやじの息子である タイ国内で行われるシャドートーナメントにも出場し カオレムダム大会で優勝経験もあるらしい 今回も学校をサボってシーナカリン遠征に同行したという ボクが 「ガールフレンドはできたのか」と聞くと 「釣りが命だ」とメンは臆することなく答えた いや じつに素晴らしい 二十歳頃のヨシダコウキを髣髴とさせる潔さだ (今はもうコウキも色気づいてしまってどうにもダメだが) ボクはふと メンをアメリカに連れて行きたいと思った このテクニックとタフネスとスピリッツをもってすれば 必ずアメリカのバストーナメントで優勝できる ところで 誕生日のボクには 朝からなんのアタリもない ノーバイトのまま今日が終わろうとしていた そもそも 誕生日というのは生まれてきたことに感謝する日である そんな日に生き物を殺生してはいけない 確かにそうかもしれない しかし 野球選手にもバースデーホームランというのがあるように ここは一発「ドカン」ときて欲しいものだ・・・ などと ぶつぶつ言っていると 「ドカン」ときた それにしても シーナカリンのプラーシャドー どれもこれも素晴らしい魚体である 筋肉質で精悍でパワフルでビューティフル 非の打ち所がないとはまさにこのことである この一匹はテングリの神様がボクにくれたバースデープレゼントだ ああ、神様 「おおきに」 ボートマンのホテイが ルアーが絡んだ延縄に掛かっていたナマズを一匹盗んだ 晩飯のおかずにするらしい カオレムでもノーイがナマズを盗むのを見た うむ ボートマンというのは悪いやつが多いのだなあ しかし 当の本人は少しも悪びれた様子もなく さも嬉しげに盗んでいるのだ さてさて 釣りが終わって晩飯の時間になると くだんのナマズが見事な料理となって出てきたではないか なかなか見た目にも上品な料理である バンコク市内の一流レストランのメニューになりそうだ まずは一口・・・ うむ アローイマーク! しかし これを口にした瞬間 ボクらは全員泥棒の片棒を担いだことになるのだ
by ikasasikuy
| 2006-07-04 18:08
| 釣魚小全
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